待望の関西大学ラグビーAリーグが開幕した。前評判では天理大学が断トツで、次に京産大が続くが、後は団子という風評である。大学選手権枠は3校なので、関西学院大戦は、決して落とせない試合である。
快晴の西京極は9月末とも思えない日差しで、天は高いが暑さは「残暑厳しき」と言ったところか。ウォーターブレークをとりながらの対戦となった。観衆は、めのこ2000人、同志社ファンが多い印象。ただ、関西学院学生応援席の声援は強烈で、試合を通して完全に応援負けした。
ファンの関心は、夏合宿で出遅れた同志社がどこまで完成度(=チーム力)を高めて来たかにあった。特に劣勢だったスクラムとラインアウトの強化は如何にレベルアップ出来たかに最大の関心があった。
試合開始早々から同志社のペース。肝心のスクラムでもブレークダウンでも同志社優位に見えた。ラインアウトも展開力もモールもまずまず優位で、こりゃ勝てると思えた。
開始5分から15分、同志社は敵陣で試合を進め、敵ゴール前で攻めに攻めた。完全にフォワード勝負のゲームプランで臨んだらしく、フォワード攻撃一辺倒である。ただ、攻めに攻めるが、つまらぬペナルティでチャンスをものにすることなく、決定力不足を見せ付けた。敵陣で6:4から7:3くらいで試合を進めながら、時間は空しく過ぎた。今思えば、このフォワードの拘りとその決定力の無さが試合結果を暗示させていた。
やっと試合がブレークしたのは、CTB阿部選手④の突破から右中間のフォワードの混戦(密集)でSH人羅選手①が押さえた時点であり、前半も既に29分も経過していた。フォワード一辺倒勝負では、限界が見えた流れであったが、フォワードの執念のトライに思えた。
フォワード陣、特に野中キャップテン④の執念は凄まじく、先頭に立って敵防御網を切り裂こうとしたが、関西学院のフォワードも粘り強く、執拗な防御を重ねた。
前半ロスタイム、敵陣22mライン付近で敵ペナルティ。時間もないので手堅くPG狙いかと思えたが、野中キャップテンは何の迷いもなく、フォワード戦を選択した。力尽くでトライを取る算段であるが、正直、大丈夫かなと思った。しかしながら、心配無用、堂々と力尽くでフォワード戦を制し、トライを挙げ、同志社フォワードの意地を見せた。
前半は、D14:0で折り返し。同志社は、不安定な試合運びながらロスタイムの得点で少し余裕が出たようにも思えた。ただ、フォワード戦はまずまずながら集散は余り良いとは言えず、SH人羅選手が小気味よく左右にボールを散らし・・・とは決して言えない流れであった。前半、もう一本、心底欲しい展開であった。
そして何よりも選手も応援もベンチも大人しい。リードしているにもかかわらず、変なもの静かさが支配していた。一体、これは何なんだ。覇気とか意気軒昂とか言う言葉と究極の流れが支配していた。
後半に突入すると同志社優位の流れが何故か可笑しくなった。まず、優位に立っていたスクラムで変調が生じた。前半の終盤だったか後半開始早々だったか定かでないが、レフェリーから同志社の前一列が何だか(?)の注意を受けた。
この一言で、関学優位のスクラムに転じた様に思えた。これで明らかに試合の流れが変わったのだ!何が何だか分からないうちに関西学院大学がフォワード戦に優位に立ち、あっけなく後半2分に同志社からトライを奪った。(D14:7K)
後半の立ち上がりのドサクサに紛れた不運の被トライかとも思えたが、その後も関学フォワードはネチネチとフォワード戦を挑み、ラックサイド攻撃を執拗に繰り返した。実に長い長い時間、フォワード戦は継続した。
見ていて面白くも何ともない消耗戦となった。同志社は図らずも完全に受けに廻った。ネチネチフォワード戦とバックスの蹴り合いに完全に付き合ってしまい、得意のバック・フォワードの高速展開ラグビーを完全に忘れてしまった(封じられた)かに思えた。
同志社は単調な攻撃を繰り返し、全く「策」が無かった。切り札FB安田選手③やCTB永富選手③の縦突進も敵ラインの裏へ出ることなく、ことごとく2人掛かりで止められ、敵に研究され尽くされている節を受けた。大外に球が供給されることも少なく、況やスペースを伴って球が廻ることは皆無であった。
試合後の関学監督の話では、「前半からフィジカルもフィットネスも勝っていたと判断した。」とのことだが、決してそんな印象は受けなかった。訳も分からぬ関学の内部論理に関学は鼓舞され、お人好しにも同志社フォワードが付き合い、心ならずもその策に嵌り、消耗した印象が強い。少なくとも同志社は対応策を捻り出すことなく、フォワード戦に行儀良く最後まで付き合ってしまった。
後半は、ず~とフォワード戦とキック戦で関学のペース。恐らくは7:3くらいで同志社陣での勝負となった。関学は10も20もフォワードフェーズを続け、後半15分と29分にフォワード主体で得点した。残り10分、同志社が同点更に逆転するためには、局面を大きく打破する戦法チェンジが必要となった。
しかしながら、前半の成功体験を引きずったのか、十年一日のフォワード戦を最後まで同志社は繰り返した。ここ一番で、ラインアウトのスローインミスも重なった。
中でも野中主将は、自ら核弾頭となって突破を試みたが敵防御陣を切り裂くことはなかった。終盤交代出場したCTB高井選手④が敵防御ラインを突破した時には「すわ同点!」と思ったが、いまひとつ届かなかった。
終盤、最後の10分は同志社の時間帯で、同志社フォワードは引き続きフォワード戦を挑み、敵ゴール前で攻めに攻めたが、ワンパターンの攻撃は敵防御網の餌食になりばかりで、ついにゴールを割ることなくオフサイドとなった。
正直、凡試合であった。緊迫感なんて何もなく、双方とも時間を浪費しあった試合であった。「やって楽しい、見て楽しいラグビー」には程遠かった。
第二試合の天理・立命の試合の当たりの強さとは雲泥の差であった。このままでは、天理大学に大敗した立命館大学(次試合対戦相手)に勝利するのも至難な業とも思えた。
一番気になったのは、フォワード戦を最後まで貫いた点は良しとしても、大声で激を飛ばし鼓舞奮闘させる人材が(表向き)選手にも首脳陣に見られなかった点である。
ノーサイドの笛。関西学院大の選手には、勝利に涙ぐむ選手が数人いた。スタッフ(男性学生)の中には、泣きじゃくるメンバーがいた。誤解を恐れずに言えば、同志社の選手は「あれ、負けちゃった。」という感じで、試合後も淡々とした表情に見えた。
早くも大学選手権出場が、黄信号から赤信号の点滅に変った。もう開き直るしかない同志社である。綺麗ごとは言っておられない。試合後に泣きじゃくるくらいの意気込みで試合に臨むしかない。(F)
↑前半ロスタイムのトライ。ここまではまずまずだったが、このこだわりのトライが仇になったような気も・・・。
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