9月16日(土)、関西大学ラグビージュニア(Jr)リーグは、秋の訪れとともに待望の開幕を迎えた。折りしも日本列島を縦断した台風18号が秋雨前線を刺激したとかで、シトシトどころか大雨の同志社大学田辺グランド(G)での開幕である。
前日(9/15)に発表されたメンバー表を見て、同志社ラグビーファンは「何とも中途半端なメンバーだな?」と思ったはずだ。野中キャップテン他、JrリーグにAスコッドメンバーが当Jr戦の先発にかなり入っているが、さりとて全員A先発メンバーでもなさそうだし・・・。A先発メンバーを出場させれば、30日のAリーグの先発に起用できないのではないかと疑問も走った。
当日、事情を聞いて疑問は氷解した。大阪体育大学よりAスコッドで戦おうとの申し入れがあり、開幕前の試合が少ない同志社が了解したもののようだ。心配していた30日開幕のAリーグ先発メンバーには8日ルール(次試合AJr・出場ルール)適用外で問題ないとのことだった。(関西協会にDURCが確認済)
また、帰って来たばかりのU20組は、チーム練習が遅れているので出場を見合わせたとのことだし、怪我ながらレギュラー入りが当然視されるWTBやFBの選手も大事を取ったとのことであった。(納得!)従って、現時点で考えられる最強のメンバーが当試合に先発した。
Aスコッドが出場するとて、Aリーグ所属の同志社とBリーグ所属の大阪体育大学では、同志社が勝って当たり前の雰囲気の中、試合はスタートした。特にこの試合の前に行なわれたC戦(実質Bスコッド戦)で、同志社が完封で圧倒(D66:0T)したことを踏まえると勝敗よりも勝ち方に興味が移っていた。
ただ、大阪体育大学はガタイも大きくAリーグ復帰を最重点にしているだけに、この試合に掛ける意気込みを感じた。一方、同志社ファンには、Aリーグ開幕2週間前にして未だメンバーが固まっていない不安(不満?)があった。大雨の中、フォワード勝負になること間違いない。何しろ人工芝に水溜りが出来るほどの最悪な環境である。
前半キックオフ。本当に凄い雨である。第一試合(C戦)でメインのカメラ機材は使用不可となり、皆さんが良く使用されているコンデジでの撮影を余儀なくされた。雨は、ザンザンと降り頻り、しかも暗い。(写真が酷いことへの言い訳です・・~)
ただ、予想通り同志社優勢である。スクラムこそ押したり押されたりで不安定ながらほぼ互角(・・・というより同志社優位?)。同志社は、より速く散集し、接点で優勢を保った、優位なダウンボールからSH人羅選手①が小気味よく左右に短くボールを散らした。スクラムやラック廻りの雨中のフォワード戦となったが、大型の体大フォワードに同志社は当たり負けていなかった。
前半10分、7・3くらいで敵陣で勝負してきた同志社に不運が襲った。敵陣22mライン上の攻防で、同志社CTBのパスミスを大体大WTB(⑪)が足で引っ掛け、同志社の選手と縺れながらも3~4度も大きくキックして最後は一気に走り切り、左中間に先制トライした。(ゴール成功D0:T7)不運としか言いようがない先制被トライ。
傍目にも大体大は意気軒昂で、同志社の落胆振りは明らかだった。大勝を予測していた同志社ファンの鼻は白んだ。本当に嫌なムードが支配した。ただ、いつもは声の出ない今年の同志社であったが、この日は違った。出場中の選手もリザーブの選手も、そして応援の選手も大声で声援した。更には、いつも物静かな萩井監督までも、いつもと違い(失礼)大声でビシッと緊張感溢れる指示を出した。
試合を押しながら先制された同志社、一気に崩れるかとも思われたが、この日は違った。同志社の集中力が途切れることはなく、その後も同志社優位で試合は展開した。めのこ6・4から7・3、敵陣で試合は進んだ。時折、目が開けれないくらいの雨脚が襲い、ネチネチとスクラム廻りやラックサイドのフォワード戦が継続した。
同志社ファンは、「何で点がとれないのだ!」とイジイジしたが、今思えば執拗に頑張りぬいた大体大ディフェンスを褒めるべきではないか。敵ゴール前で攻めて攻めて攻め上げて、ラックサイドを突いてやっと同志社CAP野中選手④がトライしたのは、前半27分も経過した時点であった。
侮れず体大フィフティーン。C戦の圧勝、しかもゼロ封は一体なんだったのだとぼやきながら、全く予期せぬ同スコア(7対7)でハーフタイムを迎えた。ただ、同志社の精度はかなりレベルアップして来たのではないかと思った。弱点とされるスクラムやラインアウトは安定して来たし、何よりも組織防御が機能していると思えた。雨中でノッコーンが多発するのはある程度止むを得ないのだろうが、大体大と比較すると同志社のノッコーンは相対的に少なかった印象を受けた。
後半、大体大はミエミエニにハイパントを同志社の背後に上げる戦法に切り替え、雨中での同志社のパント処理ミスを狙って来たが、同志社は無難に捌いた。同志社優位で雨中のフォワード戦は継続した。ただ、前半と同様に敵陣で試合を進めながらも決定力がなく、やっと後半22分、敵ゴール前の攻防でラックサイドを突いたLO森選手②のトライで試合はブレークした。(ゴール失敗、D12:7T)
後半も終盤に入ると両チームのフィジカル格差が如実に出てきた。この点でも同志社優位である。もう負けるわけはないのだが、前半のアンラッキーな被得点も考えられ、心配は尽きない。ただ、同志社ファンが溜飲を下げたのは、同志社の綺麗なモール攻撃である。低く縦長のモールを組んで敵陣深く喰い込んだ。そして、後半32分、SO光部選手④の左サイド奥への適確なキックからラインアウトモール。綺麗なモールから難なくHO平川選手③が左中間に飛び込み、勝負はついた。(ゴール成功、D21:7T)
得点だけを見れば、雨中のフォワード戦をやっと制したという感じだろうが、試合内容は私には納得出来るものであった。決してトップレベルの大体大フォワードではないだろうが、弱点とされて来たフォワードのレベルアップは着実に進んでいると感じた。これで晴天ならば、大差で勝利と考えるのは贔屓の引き倒しであろうが、選手諸君、とりわけフォワードの選手は自信がついたのではないか。明らかに右肩上がりのベクトルに乗っている。ただ、少なくとも現時点で圧倒的な強さは感じられない。選手が出揃い、どれだけの到達レベルで開幕戦を迎えられるのか、期待と不安が過ぎる試合であった。(F)
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