2017.8.23 合宿最終試合、筑波大学Aに元気なく敗れる!

 初めての津別町は、思った以上に山の中で、北見から更に1時間を要した。北海道らしくない盆地地形で、「北の大地」・・って感じではない。津別町ラグビーグランドは、津別町が力を入れて整備しているだけあって、芝生は青々と誇らしく生え揃っているが、北見の方が広々として環境も良く、芝生も上質な印象を受けた。とは言え、当所は山の迫る地形ながら、強豪筑波大学ラグビー部の合宿の本拠地である。

 試合開始30~40分前、グランドに到着するや否や私は同志社サイドに近寄って行ったが、あれ・・?と思った。実に物静かなのである。淡々とアップをこなしているのだが、傍から見るに全く覇気がない。そうだ、選手は3週間近くの合宿に疲れ切っているのだろう。しかし、筑波大学とて同様の夏合宿最終ゲーム。なぜかハツラツとして見えた。少なくとも同志社より生気がほとばしり、大きく声が出ていた。合宿の総仕上げへの意気込みを感じた。試合を前にして、黄信号どころか赤信号の点滅を感じた。

 傍から観察するに、むしろ同志社の選手の方がガタイが大きいように思えた。筑波大学には外人選手もいなく、飛びぬけた長身や並外れたガタイの大男はいないようである。また、異様な髪型や髭面もいなく、マナーや言葉使い良さも慶應・同志社と同じように丁寧で、好印象を受けた。良い雰囲気が漂い、アマチュア大学ラブビー特有の清々しさを感じ取った。試合を拝見すると、コンプラ懸念で危うそうな(←個人的な感想です)東海大学とは大きく異なり、全うな学生集団だとの印象を強く受けた。全員攻撃・全員防御、特定者に頼ることなく全員参加型ラグビーを必要とする同志社と良く似たチームカラーだと思った。

 前半、肝心のセットプレー、特にスクラムは、何故か同志社が大きく押したり、逆に押されたりの展開で、拮抗することがほとんどない不思議な状態が続いた。ハーフタイム、主審に「大きく押したり押されたりしてますが、どちらが有利なのですか?」と質問したら、「イーブンです。筑波がまっすぐに入るのに対し、同志社が少し(反則ではないが)斜めに入り気味なので安定して組めていない。旨く組めた方が大きく押しています。」とのことだった。

 少なくともスクラムは、双方不安定ながら互角であり、むしろ試合終盤は同志社が優位に立ち、これが同志社得意の高速バックス展開を可能とし、得点に繋がった。得点こそ出来なかったが、敵陣ゴール前正面10数mの(敵)ペナルティーで、同志社はスクラムを選択したほどである。

 ラインアウトも同志社が健闘、筑波大学に比べやや安定感を欠いたが、ほぼ互角と言って良いだろう。モールも綺麗に組んで練習の成果を存分に見せていた。ブレークダウンは、寄りの良い筑波大学が一日の長。だが、さしたる差はない。

 この日、怪我から復帰したSH人羅選手①も同志社スクラムの奮闘によりこ小気味よく球を捌いた。成長が大いに期待できる人材である。

 こう書いて来ると「何で大差で負けたのだ?」と突っ込まれそうだが、私に言わせれば、同志社には致命的な問題があった。細かい技術的なことは全く分からないが、攻撃にせよ防御にせよ、チームプレーが全く見られない。単独でプレーし、肝心なところでハンドリングミスを出し、あるいは孤立して、一発切り返しで簡単に敵の得点に繋がるケースが多かった。筑波大学が合宿の成果を活かし、正確で手堅くミスの少ないチームプレーを重ねたのに対し、同志社はバラバラだったのだ。耐えに耐えて得点されたのではない。実に淡白であっさりと得点されたのだ。一体全体、組織デイフェンスって言葉はどこに行ったのであろう。

 筑波大学が堅実でしっかりしたプレーを重ねたのに対し、同志社はチームとしての完成度が余りにも低く、つまらぬタックルミスで易々と得点を許したり、味方のフォローが少なく孤立して(被)ターンオーバーやペナルティを重ねた。局面を大きく変える大型選手もいなく、決定力不足を感じた。ま、未だに日替わりメニューの先発メンバーでは、自ずと限界があるのは止むを得ないことではあるが・・。

 同志社は、接点で大きく当たり負けることはなかった。スクラムでもラインアウトでもモールでもほぼ互角に戦った。だが、チームプレーの優劣で敗れたのだ。試合終了後、萩井監督が語られた様に「弱点とされるスクラム、ラインアウトの強化に力を入れたので、チーム全体のバランス感が若干崩れている。」というのが、現時点でのチームの実状であろう。

 ただ、開幕まで1ヶ月となったこの時点で「正直、間に合うのかな・・?」というのが、ファンの一人としての偽らざる心境である。この同志社ラグビーの現状は、私の経験によると企業改革、特に組織改革を推進する場合においては、「典型的な失敗パターンである」からである。極めて心配な現状である。

 弱点克服に重点を置き過ぎ、併行して強点を伸ばせない組織は必ず失敗するのが、少なくとも企業の組織経営では常識であると私は思っている。

 かくして、個々にはさしたる実力差もない様に思えた両校の得点は、最終的にD12:54Tの大差となった。しかも後半38分まではD0:54Tなのである。この後、2トライを挙げたが、リザーブメンバーが多く入った後での戦いなので、終盤15分の同志社の攻勢は余り参考にならないのかもしれない。

 正直、惨敗なのであろうが、東海大学戦と違い手も足も出なかった印象はない。極楽蜻蛉の私などは、特に終盤10分の同志社の攻勢が目に焼き付いている。スクラムが安定すれば、間違いなく同志社のお得意の左右高速展開が可能なのである。こうなりゃ、間違いなく同志社が圧倒的優位になる!

 合宿前よりセットプレーは明らかに進展を遂げた。しかも、怪我から帰って来たHB安田選手③、WTB高野選手③の伸びやかに縦突進し、群を抜いた能力を魅せた。

 CTBの永富選手③もバックスの要として安定したプレーを演じた。これで、U20組が復帰すれば・・・と胸算用すれば、もはや負ける要素はナイのである。・・・というほど甘くはないだろうが、やはり、負傷のCTB山口選手③の変わりにCTB阿部選手がと思えば、ううむ、獲らぬ狸の皮算用ではあるが、本当にいい感じである。そうだ!WTB鶴田選手④も近々戻ってくる!

 かくして夏合宿は終わった。正直、同志社は夏合宿で出遅れた。春シーズンで負けた天理・京産の背中は、恐らくまだ見えてはいない。きっと明治大学定期戦にも大敗するであろう。しかし、肝心なのはその後である。開幕までにどこまで追い込めるかだ!

 ノビシロは大きい。ただ、ノビシロ程、あてにならないものもない。しっかりと追い込まなければ、大学選手権の関西3枠も危ないであろう。幸い同志社は、前期試験は終了している。

 この試合最大の問題は、試合中に窮地に陥り、ズズルズルと同じ過ちが重ねた時、誰も注意し、修正をリードする人物がいなかった点である。戦術的な調整は当然、選手間でやっているのだろうが、コーチから子憎たらしく絶妙な指示で見事修正してくる筑波大に対し、同志社は表だってコーチも選手も明確な指示を出していないように見えた。

 而して東海大学戦と同様に筑波大学戦でも試合途中で何ら修正がなされず、何度も同じ過ちを繰り返したのである。はっきり言って東海大戦の失敗を教訓として生かすことなく、またもや性懲りもなく繰り返したのだ。同じことを繰り返し、何度も何度もやられたのだ。

 試合結果はともかく、ここだけが誠に残念である。少なくとも私は、今年のチームの最大の欠点として捉えている。そうとしか見えなかった。少なくとも同志社サイドに、プレーヤーに激を飛ばし、心底鼓舞し、局面を大きく変えようと試みた人物は、全く私には見受けられなかった。(F)

同志社ラグビー ア・ラ・カ・ル・ト

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