ワールドカップで新装なった花園ラグビー場は快晴微風温暖。絶好のラグビー日和で、多くのラグビーファンが詰めかけた。中央席は完売で、目の子、7~8割は同志社ラグビーファン。
第1試合の関西学院大学対朝日大学が、ぅ~~んと言う試合だったので、同志社大学対筑波大学の試合が始まると両校の迫力あるスピード展開に大観衆は思わず目を見張った。
ただ、試合開始段階こそ互角な戦いであったが、徐々に同志社は自陣での戦いを余儀なくされた。その原因は、明らかに両校の「テンポとスピード」の格差であろう。
同志社は、スクラム等のセットプレーで優位に立ったが、攻撃のテンポとスピード、とりわけバックスの攻撃スピードで劣後に立たされた。躍動的な筑波大学バックスの集散力、有効なキック戦法に同志社ディフェンスは徐々に翻弄され始めた。同志社得意の必殺モールさえ、研究尽くされた感があった、
試合は、前半途中、しかも早い段階から完全に筑波大学ペースとなった。前半12分・16分と立て続けに筑波バックス陣は個人プレーを交えながらながらも得点した。(Ⅾ0:14T)
前半、34分にFB原田選手④に見事なキックパスが通り、右中間にトライで一矢報いるもコンバートならず。((D5:14T)
その直後に同志社自陣で(観ていて良く分からぬ)ノットロールアウェイ(?)の反則を取られ、PGを筑波に決められや、風向きは同志社サイドに決して傾かなかった。思わば、この被PGが実に嫌な感じを残して前半を終了した。(D5:17T)
後半早々、同志社は敵陣深く攻め込み、敵ゴールライン上のフォワードの攻防が5分くらい実に長く続いた。長い長い同志社フォワードのアタックの末、最後は、NO.8服部選手④が止めを刺したが、筑波フォワードのディフェンスは粘り強く、同志社フォワードの攻めあぐね感はぬぐえなかった。(D12:17T)
その後は、後半終盤まで明らかに筑波大ぺースが続行した。スクラムやラックにおいて筑波大学は、サイドを攻めることなくバンバンと左右に小気味好く廻して来た。そのテンポとスピードたるや明らかに同志社より上。しかもオフロードパスが実に上手く、しつこく繋いで来る。低い弾道キックやゴロパンも交え、多彩なキックで同志社防御ラインの裏を突いて来る。同志社の防御ラインにしばしば穴が穿たれた。
同志社も踏ん張って盛んに防御に努めるが、筑波のテンポとスピードに付いていけず、徐々に一次防御ラインを突破され、更には大きく裏に出られることが増え続け、段々とディフェンスに歯止めが利かなくなって来た。
こうなれば、完全に筑波ペース。個人プレーを交えられながら、立て続けに同志社は被トライ。残り10分を切った頃には、同志社の防御ラインは混乱の末、機能不全さえ起こしてしまった感が大きく漂う。
そ して後半40分、無残にもラスト1プレーの予告フォーンが鳴った。既にD12:48Tの一方的な得点差。当然ながら、勝負がとっくに決着していることは、誰もがわかっている。同志社フィフティーンの心は折れていただろうことは、想像に難くない。(←少なくとも同志社ファンの心は折れていた。)
そこから同志社は何十回繋いだだろうか?3分も4分もことによると5分にも及ぶミス一つない同志社怒涛の攻撃。さすがに攻めあぐね感は持続していたが、同志社フィフティーンは決してあきらめなかった。同志社ラグビーファンは大きな声援で背中を押した。
ある意味、悲壮感漂う同志社の攻撃の継続だった。切れの良い攻撃とは、決して言えなかった。いつミスが出ても可笑しくなかった。ミスが出た時点で試合は終了する。
どう転んでも試合に勝つことはないのに攻め続ける・・・。同志社の懸命な攻撃は涙が出そうになるほど空虚さと隣り合わせだった。それでも同志社フィフティーンは何物かに憑りつかれたように一心不乱に攻め続けた。
継続、また継続、更に継続する同志社!試合は既に決着しているとは言え、筑波も手を抜くことなく必死に堪えに堪えた。
フォワードで何度も何度も執拗に攻めた後、バックスに展開。それが何度か続いた後で、WTB山口選②が左中間に飛び込んだ。同志社サイドからこの日一番の大歓声が花園に木霊した。
原田選手④のコンバートは左ポールに当たり、コンバートならずD17:48Tでノーサイドの笛。筑波大勝で試合は決着した。
ただ、最後の最後の攻撃への執念、同志社ファンはシカと見届けた。間違くなく明日に繋がる攻撃だった。4回生は、最後の贈り物を後輩に引き継いだ。
今年の同志社は、ここ5~6年目指していたフォワードバックス一体となった速いテンポの高速展開ラグビーを封印(?)し、何故かフォワード主体のチーム造りをして来た。そうせざるを得なかったのだろうが、私には、先祖帰りをした様にさえ思えたくらいだ。
京産大の「強力スクラムでペナルティ―を誘い、敵陣深くからのラインアウトモールトライ戦法」をガラパゴスラグビーと揶揄し顰蹙を買ったことがあったが、私自身、京産大を笑えなくなった。
先祖帰りした同志社の強みとしたスクラムとモールは、筑波にことごとく対応され、逆に同志社が志向していたはずの「速いテンポの高速展開ラグビー」を数段高いレベルで筑波にやられてしまった感がする。筑波大に、余程「やって楽しい、観て楽しいラグビー」をやってのけられた。
ただ、この速いテンポだけでは優勝には届かないだろう。天理大学の様に留学生を軸とした「パワーラグビーを併せ持たなきゃならない」ところが、実に難儀である。ああ~~、途は遠い。「春の来ない冬はない」って言いはするけど・・・。(F)
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当記事は、あくまで個人的な感想です。DRFCを代表するものでは、ありません。
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