令和の世の中に、今更「お前」って・・

 少し古い話題ではあるが、中日ドラゴンズの応援歌に「お前・・」と言うフレーズがあることを中日ドラゴンズの監督が指弾され、当該応援歌が自粛されることになった。

 応援歌「サウスポー」の歌詞の「お前が打たなきゃ誰が打つ・・・。」などについて「お前と言う言葉を子供たちが歌うのは、教育上好ましくない。選手名で呼んでほしい。」と中日の与田監督が指摘され、応援団が当該応援歌を自粛することになったという報道である。

 いい加減でゆるーく生きることをモットーとしている私など、「まぁ、応援歌ぐらいいいんじゃないの。長年歌ってるんだから・・」と思ってしまうのたが・・。

 この話を聞いて、私は二つのことを思い出した。

 その一つは、私の所属した会社では、10数年前になるが人権研修だかコンプラ研修で、社内言語コード「絶対に使ってはならない言葉」等の話を聞いたのを思い出したことである。確か「お前」と言う言葉は、「使っても良いが、好ましくない言葉」として分類してあった。

 江戸時代と違い、現在、「御前」という丁寧語かつ尊敬語的意味は全くない。また、現在では文章言葉ではないので顧客宛文書や社内文書で使用することはないだろうが、文章に落したらまずは添削される言葉だろう。要は、業務上、「使うな!」と言う類に入る言葉である。現在、忌み嫌われている「上から目線」の典型的な言葉でもある。品格と平寧を旨とする私など、もう40年も使ってない言葉でもある。(←ちょっと嘘っぽい)

 もう一つは、関西大学ラグビーのAチームにも平気で「お前~」を連発しているチームの監督・コーチが、令和の世にも未だに存在しておられることである。先般の公式戦で同志社が敗戦したチームの方など、さすがに「お前報道」の直後だけにお前発言を自粛されるものと思っていた。 

 然るに試合中、選手のみならずレフェリーにまで、公然かつ叱責口調でお前発言されているのには、少々驚きを禁じ得なかった。「お前呼ばわり」と言う言葉がある通り、パワハラとまでも言えないんだろうが、どこまでも「上から目線」で品なく感じた。(遠い過去の)実績と自信から来るんかなぁ~・・。癖なんだろうけど、誰にも止められない裸のお王様・・。(フゥ~~・・)おっと、すみません。全く余計な話でした。(ご無礼)

 私の持論であり、またまた顰蹙を買いそうだが、「中学や高校、大学等の発展途上のチームでは、少々パワハラ型(=トップダウン型)運営の方が成長する。」と思っている。ただ、一定のレベルに到達するには近道ではあるが、パワハラ型には、早晩必ず限界が来るのである。

 チーム成長の最終(=成熟)段階では、トップダウン型から選手を中心としたボトムアップ型に切り替えないと伸び切れないのだ。低中進国の経済は、むしろ独裁国家の方が速く大きく成長するが、先進国レベルに脱皮するには独裁では、おのずから限界が来ることと良く似ている。

 パワハラ型のチームは、選手の応援を見るとすぐに判る。相手チームのミスに大きな歓声と拍手を送ったり、自チームにさえ「あかん・・」、「何やっとんのや・・」とかのマイナス発言を大声で連発する。ま、「紳士」の国・英国伝統のラグビー精神なんて糞くらえなのだ。

 カリスマ的なパワハラ型運営は、下位に位置するスタッフ・選手等の幅広い声を拾い切れないから無関心分野に限界を露呈するのだ。

 もう2年前になるが、北陸で行われた同志社対明治の招待試合。明治応援の観客はそうでもなかったけど、リザーブも含め明治控え選手の声援は素晴らしく紳士的で感動ものだった。また、レギュラー選手の立ち居振る舞いも見習うべきものがあった。「お前発言」とは対極の監督・コーチの姿があった。強くなりそうな予感がしたものだ。

 関西ラグビーでは、天理大学が凄い。宗教的伝統があるのだろうが、小松監督のガバナンスが行き届いている印象である。一般的にチャラケタ印象の強い留学生諸君が多いが、天理は違う。実に礼儀正しい。応援する選手の言動を見ていても間違いなく関西一であろう。礼儀、立居振舞、天理には王者の風格が出て来た。同志社の見習うべきは、関西では唯一、天理大学のみであり、特筆すべきは、小松監督のガバナンス体制である。

 翻って、同志社はどうなのか?

 はっきり言って、「お前~」型の前時代的の運営は皆無である。フィールドで選手の近くで撮影していて、少なくともパワハラ型の運営を見聞きしたことは皆無である。むしろ、監督・コーチ陣はパワハラ型とは究極の立場で運営されている。言うまでもなく、岡先生以来の学生主体の運営である。しかしながら、天理大学の後塵を拝しているのも事実だろう。私に言わせれば、成績とガバナンスの浸透度合いは、妙に一致するのだ。

 ハーフタイムの運営も、選手同士の話し合い、情報交換が主体で、監督・コーチからの指示は必要最小限、驚くほど少ない。これが同志社の伝統的運営の姿なのであろう。

    ただ、発展途上のチームはパワハラ型の方が伸びると信じている私などから見るとちょっと物足りない感じがしないでもない。

 いろいろクドクド述べて来たが、当面の目標であり見習うべき対象は何もかも天理大学。身近に模範的存在があるのは、実に幸せなことである。伝統とか何とか言っておれない。真似られないのは、留学生採用だけかも・・。

 昨日の日本・トンガ戦。勝利しても「めでたさも ちうぐらいなり おらが春」だった。ありゃ~、どう考えても日本チームじゃないなぁ~~。(F)

(注)

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同志社ラグビー ア・ラ・カ・ル・ト

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