本年度(2018年)より、ある意味突如に出場留学生枠が、2名から3名に拡大された。何故これまでが2名であり、何故3名に拡大されたのかの明確な説明は、日本協会からは無かった様に思われる。少なくとも私には、現在のところ、賛否は兎も角、拡大理由を全く理解出来ていない。
ただ、(日本国籍を取得していない)留学生の拡大は、今後とも日本協会が強く推進して行く様に思える。現在のラグビー日本代表(Japan)の主力を占める外人選手の活躍振りを見れば明らかだろう。もはやグローバルスタンダードだ。
サッカーのワールドカップでも顕著であったが、フランスやドイツ、イギリスで数多くの黒人選手が活躍しても余り違和感がない時代となった。ファンは、選手とチームの華麗な技術と勝利への卓越した執念を観に来ているのだ。各国のプロサッカーリーグで顕著な様に、実は国籍何てどうでも良いのであり、応援しているチームの勝利だけが正義なのである。
その意味で、ジャパンラグビー強化のため、ひいてはジャパン予備軍として大学ラグビーに留学生の増配置が求められて来ていると考えるのは、強ち穿ち過ぎでもないだろう。
そもそも私には、「留学生枠」について根本的な疑問を持っている。文部科学省基準に準拠し、正規に大学当局が入学を認めた学生の国籍が日本国籍であろうが、外国籍であろうが学生は学生ではないのか。同志社の学生は、国籍がどこであろうが同志社の学生であり、実力に応じて同志社ラグビーの代表選手として、分け隔てることなく出場させるべきではないのか。
留学生枠は、ある意味、外人差別と考えるが如何であろうか?この質問に対し、日本協会は、どう説明するのであろうか?私自身は、論理的な説明が出来ない。理由が解らない。
恐らく協会は、「監督会議の総意として」とか何とかの理由で明確な説明を避けるだろう。・・・という”嫌味”を言う以前に、きっと皆様は十分お分かりのことだろう。
少なくとも私は、現在の留学生の優遇措置に、公開も出来ないくらいの“やましさ”があるからだと思っている。即ち、大学ブランド向上のために歪められた「過当競争」が繰り広げられていることを誰もが認めているのだ。周知のとおり、醜い勝利第一主義の弊害の一つなのだ。留学生の優遇実態を「公開できないくらい」世間の常識からは、かけ離れたものが存在しているのだろう。
協会は、留学生選手の”極めて歪な現状“を間違いなく知っているから、「枠」を設けざるを得ないのだとしか私には考えられない。
私は、ベトナム人の技能実習生の現地(ベトナム)での日本語教育に係わってる。ベトナム人実習生で3年間の日本での実習を終えて、日本語の日常会話が何とか水準以上に出来るのは3~4割、日本語新聞が理解できる人材はゼロに等しい。特に大きな問題は、「漢字」の理解である。
もう3年前になるが、北見の夏合宿で対戦相手の留学生選手(3回生)と20分くらい立ち話をしたことがあった。私は身長170㎝代後半、体重80k(内緒!)なので、決して体の小さい方ではないと思うが、当留学生は、当方が威圧されるくらい縦横ともに格別にデカい大男であった。格段のパワーとスピードで同志社を蹂躙し、勝利に貢献した。ただ、明るく朗らか、人懐きの良い楽しい好男子である。
「授業には、出ていますか?」「えへへ・・。」
「教科書や講義内容はわかりますか?」「漢字が解らないので、難しい。」
「卒業できそうですか?」「・・・・。」(無言)
私には、ラグビーを止めた後、日本で大卒ビジネスマンとして活躍するのはかなり難しいと感じた。日本語が壁になっていたのは事実であろうが、どうも小学生の高学年か中学一年生と話しているような印象が残った。もちろん日本へのラグビー留学経験は、彼に無限の可能性を拡げることに繋がろうが・・・。
皆様、ご承知の通り、ラグビースキルが高く体格にも恵まれた逸材は、学力が入学選抜基準レベルに達していなくても、入学、場合によっては卒業が保証され、授業の出席免除、単位取得試験の免除・優遇(レポート代替等)が為されているやに聞き及ぶ。スポーツ推薦と共通する部分が多いと思うが、特に、留学生には、授業料減免、寮費(居住費・食費)減免、生活費支給等の大優遇が行われているやにも聞く。リクルート担当の方に詳細を聞くと、あながち事実無根でもないらしい。
当然のことながら、学力だけが大学生を評価する物差しでもないし、各大学が学力以外の能力を重点評価して入学や卒業を認めるのは、大学の勝手というものだろう。
でも同志社ラグビーファンの皆様、ラグビーだけが全日本クラスで、授業もまともに出ない留学生が中心(先発主力3名、スーパーリザーブ3名)となった同志社ラグビー部が、例えばリーグ優勝・大学選手権ベスト4となって、正直、応援して本当に楽しいでしょうか?(ま、優勝すれば、少しは楽しいですけどねぇ~)
東京医科大学問題ではないが、そもそも公開できないような基準や優遇があることに、既に許容出来兼ねる時代が到来しているのではないか。不透明な留学生入学卒業基準や処遇(授業料・寮費・食費免除等)は、早晩パージされる運命にあるのではないだろうか。
時既に遅しの感があり、関西でも今季リーグ1~2位を占めた天理大学や京都産業大学は、日本ラグビーのメイン潮流に乗って留学生活用を推進している。スポーツ推薦枠さえ頑なに厳しく自己規制する同志社大学や慶応大学は、もはやガラパゴス化していると言っても過言ではないであろう。
ただ、「スポーツの強さは、(投入する)カネに比例する」が持論の私には、同じ金を使うならもっと他に最優先すべき事項があるだろうとも思っている。何しろ、入学金から授業料・寮費・食費まで丸抱えすると4年間で選手一人1000万円も掛かってしまうのだ。
TTP(11ヶ国)の部分発効を新年に控え、どうも私の固い頭は、平成どころか昭和の遺物となってしまっている様だ。スポーツ推薦にせよ留学生活用にせよ、もっと推進すべきだと思うのだが、どうも匙加減が分からない。他校とは、相対的なものがあるんだろうが、どうも線引き基準が分かり兼ねる。
この留学生問題には、外人選手が主力が占めるJapanをどうも好きにならないことと同根だと、私自身は感じている。ラグビーの発生・発展・普及の歴史面で配慮すべき事情があるとは言え、どうも私にはオリンピック方式に拘りを禁じ得ない。ラグビーワールドカップ日本開催を来年に控え、悩み多き2018年末である。(F)
(当記事は、あくまで筆者個人の見解であり、一切、DRFCの総意ではありません。当然のことながら、裏付資料に基づいた記事ではなく、筆者個人の憶測記事に過ぎず、当件に関し、多様なご意見があることも承知しております。)
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