徳川直系の上越・高田城址に作られた素晴らしい環境の高田公園競技場。近くにはご存知「上杉謙信の居城‣春日山城址」がある。古来、豊かなコメ資源に加え、流通の要として商業資本が集中した豊かな地である。雨が心配されたが、幸いにも曇天下の恵まれた天候下で同志社・明治定期戦が行われた。
当地に来て初めて知ったが、故北島元明治大学ラグビー部監督のご出生地だとのことで「北島メモリアル云々・・」との謳い文句の大会であった。而して、党大会は同志社にとって完全にアウェイ状態。本来中立であるべき(・・と私は思うが)主催者サイドの市内のチェアリーダーの子供達までが、明治の応援一辺倒。ただ、観客は双方の応援は半々くらいか、むしろ同志社の方が多い様にも感じた。
試合を分かり易く解説(場内放送)していた新潟ラグビー協会の解説者までが、試合終了後に総括として「得意の型に嵌れば得点できる明治大学と相手にミスが出れば得点できる同志社大学と言うことが良く分る試合でした。」とあっけらからんと宣もうた。私は、思わず絶句した。
確かに同志社のラッキーなインターセプトもあったが、何故ターンオーバーに至ったか、当然のことながら必然的な事由があったからである。でなければ、明治大学が何の理由もなく凡ミスを繰り返したことになるので、これほど明治大学を馬鹿にした話はない。
遠来のチームに対し、無礼千万な言葉を浴びせながら、まぁ、きっと後で新潟協会からお詫びの言葉は間違いなく無かっただろうけど、目くじらを立てることもないか・・。
まず両チームが登場して一番に感じたことは、明治の体格の大きさである。見るからに大きく丸くあんこ型力士体格をしている。上背も高い。これは、帝京大、天理大と同様であり、大学ラグビーの覇者になるための必須要件の一つにさえ思える。フォワード1・2列は別格として、バックスも含む残りの全員が背も高く、皆フランカーの様な体格をしている。SHもプリンプリン。同志社は、見るからに華奢で、しかも明らかに背丈も低い。
双方のチームのフィジカルの強弱は、早速ながらスクラムに大きく出た。前半は、大きく押されることこそ少なかったが、コラププシングの反則を同志社フォワードは多発させた。後半は、ズルズルと押し込まれたり、回されたりで、マイボールスクラムでは、球出しするのがやっとの有様。
前年度の大学選手権で大接戦で惜しくも優勝を逃し、今年も帝京大学を破った明治大学の勢いさながらであった。前半20分までは、一方的な明治大学ペース。スクラムがまともに組めず、同志社のコラプシングが続出。マいボールラインアウトも大きく劣勢で、競られまくられた。相手ラインアウトは、モールを警戒して競うことなくやすやすとボールインを許してしまう始末だ。
前半22分にはD0:14Mと或る意味予想された展開。前評判通り、フォワードのセットプレーの圧倒的強さをベースとする明治大学の強さに同志社ファンは「やっぱり・・。」といった感じでため息しか出ない。特に明治大学のモールのパッキングは素晴らしく、同志社には打つ手がない様にさえ思えた。
丁寧で底堅く縦横への突進を安定的に進める明治大学には、王者に相応しい貫禄の様なものさえ漂っていた。試合全体では恐らく6割方明治に球を支配され、一方的に受けに廻った同志社大学だが、受け方が違った。スクラムで相手フォワードを崩し、更にラックサイドを執拗に攻める明治大学に対し、同志社フォワードは決して諦めなかった。
同志社のタックルは、あくまで低く、強烈なパッキングで応え、何度も観衆の喝采を浴びたのだ。前で前での防御が最大の攻撃に繋がることを身を持って示したのだ。明治は攻めあぐね始め、止む無く(?)左右に球を散らしても同志社のバックラインの防御が見事に機能した。攻撃しながら追い詰められて行く明治大学は必然的にミスを連発した。
逐一試合経過を記載することは控えさせていただくが、見掛けの貧弱さとは裏腹に同志社は決して当たり負けしていなかった。フィットネスはむしろ勝ってるかに思えた。ダウンボールと集散とスピードは明らかに同志社が上だ。同志社フィフティーンは実に「切れ」が良い!綺麗なラックを組んだ。
ぱっと見では、フォワードが、スクラムやラインアウト、モール等のセットプレーで粉砕され、何とかバックスが踏ん張った形に見えるが、それは少し違う。特筆すべきは、同志社のフォワード・バックス一体となった組織ディフェンスが、高度に機能した点であろう。
更に撮影した写真を整理してやっと気付いたが、京都産業大戦からうすうす感じていたことだが、「縦突進」が実に強くなっていることだ。特に両CTB、柔の永富選手(インサイドセンター)④と剛の山口選手(アウトサイドセンター)④は、必ずと言って良いほど縦へゲインし、味方サポートに有効なボールを繋ぐ。FB安田選手④も大幅な縦へのゲインが目立った。フォワード・バックスともサポートの良さが目立った。
試合を観ていて「あれ?これってどこかで観て来たような・・。」と感じた。そうだ、先般の京都産業大学戦である。試合の6割方、過半を敵に支配されながら、攻撃的な防御で局面を一転させていたのだ。名付けて「アタッキングディフェンス」。(←と言ってるの私だけですが…。)
これが今年の同志社の特徴というより「大きな強み」だということに、明治戦で初めて気付いた。これでスクラムさえ少々安定させれば、間違いなく強い同志社が出現する。ううむ、負けても勝ったような気分になったのは、少し情けないが、この試合の成果は実に大きかったのだ。
明治は、実に高好度の高いチームであった。どこやらのチームと異なり、試合展開は綺麗だし、選手やコーチ陣から品の悪いヤジは一切飛ばなかった。髪型も個人的見解ながら、学生らしくて感じ良い!
これも帝京大学や天理大学と共通していた。もちろん同志社も共通(髪型除く)している。どうやらこれらのチームには、パワハラの心配は無さそうである。
(2018.6.15:F)
以 上
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