6月中旬ながら空梅雨の様相の京都産業大学グランド(京都市)。心臓破りの坂道を7~80mも登るともう汗だくになり、早くも体力の過半を消耗してしまう。
前日、公式HPで発表されたメンバーを見て「え?」と思った。東京で立教大学定期戦があるので、萩井監督と野中主将は東京だろうなと思っていたが、予想に反し、4回生はほとんど東京行きで、京産大戦はPR木田選手④を除き、3回生以下でメンバー構成されていた。
ま、「現状、これもありかな。」と思いつつ京都に向かったものの、春シーズンも終盤になって来るとそろそろレギュラー陣を定着させ、チームの完成度を上げて欲しいと思うのもファン心理というものであろう。
特に第一列のPR土田④選手・PR石橋選手④・HO山崎選手④を東京行きにしたことは、試合の不安、特にスクラムの不安をぬぐえ切れなかった。更には、FL野中主将④はともかくとして、フォワードではNO.8丸山選手④、FL倉本選手④、バックスではFB(CTB)光部選手④、CTB高井選手④、更に今やエース格のWTB鶴田選手④までも立教戦とは・・、正直、私の想定外だった。いま挙げた選手は、レギュラー・準レギュラークラスであり、結果として京産戦より立教戦に重点を置いた布陣としたように思えた。
ま、敢えて4回生の布陣で臨む立教定期戦に比重を置くのも、一見“いごっそう”にも思える萩井監督らしくもあった。が、かくして京産大戦は、1~3回生のオンパレードとなり、同志社ファンには、期待と不安が激しく交錯した。一番驚いたのは、ハーフ団である。当然、先発レギュラーを目指すSH原田選手②・SO古城選手②の2回生コンビの起用と思われたが、SH人羅選手①・SO山本選手①の東海大仰星の1回生コンビ抜擢し、度肝を抜かれた。
6月も半分以上経過し、今が試用期間だと言うほど余裕はない時期に差し掛かっている様にも思えるが、萩井戦略は遅咲き型のチーム作りを目指して、(怪我人問題もあるだろうが)じっくりと体力作りと試用をしているように思えた。
かくして初紺グレメンバー続々となり、2回生5人、1回生3人が先発起用された。リザーブにも2回生2名、1回生2名が名を連ねた。
こんな小さな期待と大きな不安の中でキックオフされたが、ま、試合が興味深かったのは最初の10分くらいで、予想通り(?)試合の帰趨は早くも明らかとなった。何もかも京都産業大学が勝った。セットプレー、集散、当たりのどれをとっても同志社は劣後した。特にスクラムは最悪で話にならない程で電車道状態である。京産大は少し変則的な組み方をするらしいが、レフェリーに注意されることなく好き放題に押し続けた。同志社は捲り上げられ、シンビンさえ喰らった。
開始5分には、早くも「同志社はセットプレーがめちゃくちゃ弱いから、ともかくスクラム」と、公式戦にもかかわらず自陣のゴールポスト下に陣取った京産大首脳陣から大声の指示が飛んだ。そう言えば、レフェリーが某首脳(総監督でない方)から大声でボロクソにやじられながらも受け流し、黙々と業務遂行(?)されたのには恐れ入った。
それを隣に陣取る総監督さんが注意もされないのを21世紀(今時)の珍事として興味深く拝見した。録音して公開したら喝采されるであろう会話も何度か聞けた。(写真撮影は敵陣サイドからするもので・・・)どうやら京産大には、リスク管理という概念がないらしい。嫌味はこのくらいにして、正直、同志社のコンプライアンスは問題ないと思われるが、他山の石としたいものである。
かくして同志社は、何にも良いこともなく負けた。(D19:66K)経験が財産となるなんて恥ずかしくて言えないくらいの敗戦振りであった。
京産大の強さだけが光った。余り目立たなかったが、外人選手2名の起用で、明らかに戦力に厚みを増していた。「京産大よ!思えもか」と言う印象を受けたが、時代の趨勢であろう。確か昨年まで他チームの外人起用をボロクソに野次っていた一部の京産大ファン方は、何故かその件には寡黙であった。
京産大フィフティーンは、チームの完成度がかなり高いように感じた。持ち前のスクラム・モールを中心にしたファーワード戦に高いレベルで磨きを掛けているように見受けられた。今年もスクラムで勝ち、密集のフォワード戦で優位に立ち、大きく大外まで振るバックス勝負、あるいは敵陣の相手ペェナルティからラインアウトモールで攻める得意の戦法である。
このようなラグビーは、素人ながら21世紀型のラグビーとは程遠いガラパゴスラグビーとしか思えないのだが、関西ラグビー限定ならまだまだ通じるのかもしれない。ただ、現時点で、同志社がフルメンバーを揃えても容易に勝てる相手ではなかった。
何れにせよ京産大のラグビーは、「やって楽しい見て楽しいラグビー」とは究極にあるようにも思える。一ファンとして申し上げるならば、同志社にもっともやって欲しくないラグビーである。ま、ボロ負けして言うようじゃ、所詮は犬の遠吠えですが・・・。秋には勝ってから堂々と言わせて欲しいものである。(F)
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