良いチームだったが、勝ち星に恵まれなかった(2017シーズンを振り返って)

 平成29年が終わろうとしていますが、同志社ラグビーファンの平成29年度はとっくに終わってしまいました。どこかで大学選手権とやらがあるらしいのですが、もうどうでも良い感じで、昨年とは段違いの年の暮れです。

 関西大学ラグビーAリーグ戦、終わってみればよもやの3勝4敗の6位(8校中)。開幕時には、「1強」の天理・「1弱」の京産、残り6校が一線で「弱々」との下馬評でしたが、結果として、ある意味予想どおりの結末だったのかも知れません。

 ただ、同志社ラグビーファンの大半は、天理には適わないものの、「ま、最悪でも大学選手権出場の枠内(3位以内)には留まるだろう」と楽観的な予想をしていた方が多かったのではないでしょうか。少なくとも、ここしばらくは前年大学選手権準決勝進出の流れは継続するであろうと・・・。 

   今、冷静に見つめなおすと、(個人的かつ独善的感想ですが・・)問題は、やはり、チームの完成が大幅に遅れたことに尽きます。最終戦の天理大戦の終わった直後、前監督の山神氏とグランドで遭遇しましたが、開口一番、「やっとチーム力が上がって来たのに、シーズンが終わる。残念だ・・・。」と語られました。正にこの発言に尽きます。

 傍から見た限りでは、出遅れの原因を以下のように考えます。

まずは、監督交代。これは全くの邪推ですが、新監督発表が遅れた(という印象が強いのです)その期間(今年1~2月)の練習(筋トレ等のフィジカル強化)が緩んだのではないかと春シーズン開幕時(4月)時に懸念しました。

 春シーズンの蓋を開いて大きく変身した選手が、前年に比べて極端に少ない印象を抱きました。大きくなっていないなぁと言うのが正直な感想でした。筋トレは充分でも食事が問題なのかも知れません。

 即ち、春シーズンの出足時点で、既に遅れを取っていたのではないかとの印象です。しかしながら、徹底的なフィジカル重視(先行)運営と練習密度が前年の倍(?)になったとの話を聞き及び、同志社ラグビーファンは、「技術やチームプレーは同志社の伝統。フィジカルさえ先行すれば、チーム力は後から自然について来る。」と思ったものでした。

 それにしても春シーズンの天理・京産戦は、余りにも負け方が悪過ぎました。今思えば、この時点で、もう追い付けないくらいの差が生じていたような気がします。残念ながら、両校の圧倒的に大きなアドバンテージを感じたものです。そして、最後まで追いつけなかったというのが正直な感想です。

 その立ち遅れの一因は、やはり怪我人の多発にもあったように思われます。SO芳森選手③が夏合宿前に怪我で脱落、最も期待されたCTB山口選手③も夏合宿の東海大戦の怪我でシーズンを棒に振りました。

 CTB阿部選手④も秋シーズン本番にはやっと間に合ったものの大幅な出遅れ、大黒柱の一角を担うはずのLO服部選手②も夏合宿明けに一旦復帰したものの、再度怪我で秋シーズン途中出場。FL丸山選手(副将)やFB安田選手③も満身創痍の状態で秋シーズンを過ごしました。

 残念ながら第一列は過酷な練習を重ねたものの、最後まで不安定感を拭えませんでした。また、ハーフ陣もシーズン途中でCTB永富選手がSOに回り大きく安定しましたが、俄か作りの感を拭えませんでした。

 メンバーが固定し、チーム力が上がって来たのは、やっと最後の二試合(Vs.近畿大学・天理大学)だと言っても過言ではないように思えます。やはり、チーム完成度の遅れは致命的でした。特に夏合宿での遅れが、最後まで祟った感じがします。試合の善し悪しのバラツキが、何故か例年になく大きく感じたものです。

 特に9月のシーズンイン前の成長がほとんどなかったように感じています。筑波戦から伸びていないと言うのが秋シーズンイ開幕時の正直な感想でした。フィジカル面では大幅に向上したのでしょうが、他校も同等かそれ以上に向上し、当初思い描いていた「フィジカル面での優位性」が最後まで発揮で出来なかったのではないでしょうか。換言すれば、フィジカル重視、フィジカル先行を引っ張り過ぎ、チーム作りが遅れた感を強く待ちました。

 

 その中で大いに気を吐いたのは、FLからNO.8に廻った野中キャップテン④であります。彼の必死さ加減は、試合中の“鬼の形相”にしかっりと見て取れます。チーム随一の理論家は、声高に激を飛ばすことは少なかったものの、全身全霊で戦いに挑み、チームには勇気と覇気を、ファンには感動と希望を与えました。

 跳ね返されても跳ね返されても、縦へ縦へと真向勝負を挑みました。正に体を張って、本当に素晴らしいキャップテンシーを発揮しました。勝ち星の積み重ねこそ恵まれませんでしたが、近来、類稀な名将と言って良いと思われます。

   玄人筋のファンから好評だったのが、丸山副将。一見地味ながら、しつこく粘り抜くディフェンスは一切の手抜きがなく、同志社ディフェンスラインに大きな厚みを加えました。

 また、言うまでもないのが、WTB鶴田選手④・高野選手③の両ウイング。この両人の突破力は、2017同志社ラグビーの大いなる魅力の一つでした。特に鶴田選手がボールを手にするとその鋭い突破力とスピードに大観衆が何度もどよめいたものでした。

   個人的に大好きだったのは、CTB阿部副将④・永富選手③の両センター。久々の安定した底堅いセンターらしいセンターでした。特に永富選手の柔らかく正確な順目パスや意表をついた飛ばしパス、敵ラインウラ裏への柔らかなキックなどは、文句の付け所がない魅力的なプレーでした。 

 この永富選手がSOに廻って後釜に入って来たのがCTB高井選手④。見るからにヤンチャ顔(?)ですが、明るく前向きで本当に楽しく皆に好かれる性格でした。軽量なのが珠に瑕でしたが、気風の良い縦突進と鋭く切れの良いステップをみせてくれ、本当に魅力溢れる選手でした。

 最後に総括。正直、全く不本意なシーズンとなりましたが、同志社ラグビーファンの誰一人として、チームを率いた萩井監督と野中主将を非難するものはいないと信じております。

 何故なら、両氏の真摯で野太く地道な取り組みを充分に承知しているからであります。きっと今年度の地道な取り組みは、来年度に花を咲かせること間違いなしと思っています。地味ながら、信念溢るる揺るぎなき萩井監督のチーム作りは「本物」であると確信しております。

 新年度の基礎作りは、もう始まっていることでしょう。春のシーズンインには、高い高い発射台に乗っていることを、同志社ラグビーファンは、大いに確信し期待しております。

 好感度溢れる野中組の健闘を我々同志社ラグビーファンは、決して忘れません。本当にお疲れ様でした。(F)                             以 上

同志社ラグビー ア・ラ・カ・ル・ト

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